モバイルアプリを譲渡する前に抑えておきたい著作権
M&A全般
作成日 : 2020年8月16日
モバイルアプリを譲渡する前に抑えておきたい著作権
SNSやゲーム、家計簿などの便利アプリまで、最近では比較的小規模な人数でも簡単にアプリを制作することができるようになり、開発に関わる企業も多くなってきました。
M&Aによる事業譲渡の際にもアプリの権利移行の話が一緒についてくる話も多いです。
それに伴って問題になってきたのが、アプリに関する著作権です。今回はモバイルアプリの売買を行う際に抑えておきたい著作権について、お話していきたいと思います
アプリの著作権
アプリに認められる著作権
全てのアプリはまず、アプリそのものが「プログラムによる著作物」として著作権に保護されることになります。
またアプリ内にて使用された画像や音楽も制作物のため、それぞれに対して著作権による保護が認められます。
ここで気を付けておきたいのが、アプリそのものと内部で使用されている画像や音楽は別々の著作物として認識されるという点です。
そのため全てをまとめてアプリの著作権というわけではなく、アプリ、画像、音楽がそれぞれ独立して著作権に保護されることとなります。
アプリ制作会社が著作権を取得するために
基本的に制作されたアプリの著作権は、制作者へと帰属することになります。
そのためアプリ制作会社がアプリを発表する場合は、アプリの著作権を会社で取得することが必要です。
個人が制作を行ったアプリの著作権をアプリ制作会社が取得する方法は、大きく分けて2つあります。一つは制作者と著作権譲渡契約などを締結して著作権を譲渡してもらう方法、そしてもう一つが「職務著作」としての著作権を取得するという方法です。
「職務著作」とは「法人の意思決定によって従業員が職務として制作し、法人の名義によって公表された」著作物に対して、著作権が法人側に帰属するという制度になります。
この制度の対象となる前提で作成されたアプリにおいては、著作権譲渡契約などを締結していなくとも会社で著作権を取得することが可能です。
アプリの著作権に関する注意点
アプリと映画作品としての著作権
作成されたアプリがゲームだった場合、アプリ内で使用されているムービー等に対して「映画の著作物」としての著作権が認められる場合があります。
この「映画と著作物」としての著作権は保護期間が公表されたから70年間となっているなど、アプリや画像などとは異なった規定が定められています。
またこの「映画の著作物」としての著作権はゲームプレイ時の効果等も保護対象となる場合もあるため、ゲームのアプリを売買する際には特に細かな配慮が必要です。
職務著作と業務委託契約
著作権法における職務著作とは、あくまでも法人と雇用関係にある個人との間での制度となります。ここでいう雇用関係とは、業務内容を会社側の意思によって決定することができるということです。
そのため正規雇用者や派遣社員などに関しては職務著作の対象内ですが、業務内容を個人で決めることができる業務委託の個人事業主は職務著作の対象になりません。特にプログラミングなどを行っているのが個人事業主だという場合も多いので、そういった場合は別に著作権譲渡契約などを締結しなくてはならないので注意が必要です。
モバイルアプリの著作権まとめ
以上のように、モバイルアプリを売買する際の著作権の注意点についてわかっていただけたかと思います。
著作権の考え方は複雑で多岐に渡るで、アプリの売買を行う際には著作権をしっかりと注意し、場合によっては弁護士などと相談しながら進めると良いでしょう。
この記事の執筆者
MABC 事務局
株式会社AmandA
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