フィリピンのアンチ・ダミー法(Anti-Dummy Law)とは?
各国制度
作成日 : 2020年8月16日
フィリピンのアンチ・ダミー法(Anti-Dummy Law)とは?
フィリピンでは国内の産業を守るため、外資規制に関する法律が制定されております(参照:フィリピンにおける外資規制)。この規制をより強固なものとするため、アンチ・ダミー法(Anti-Dummy Law, Commonwealth Act No.108)という法律を設置し、制裁措置が規定されています。
具体的には外資規制をかいくぐる為にフィリピン人から名義を借りてダミーとして利用する行為を罰する法律です。
制裁措置は以下になります。
・禁錮刑(5年以上15年以下)
・潜脱された価値に相当するとされる罰金
・潜脱行為により享受した権利とその資産の剥奪
・会社の強制解散
名義を貸したフィリピン人も上記罰則が及びます。ただし、通報制度があり、自身がダミーをする会社のアンチ・ダミー法違反を通報することで本人は責任が免除され、また罰金の25%相当額の報奨金を受け取ることができる。
例として、土地の所有に関係するケースをよく見ます。フィリピン国内で土地を所有する為にはフィリピン国籍を持っている人かフィリピン資本60%以上の内国企業である必要があります。この規定をかいくぐるため、外資もしくは外国籍の個人がフィリピン国内に土地を持とうとして、その土地の登記だけをフィリピン国籍の人にお願いするケースです。
また、会社が設立に必要となるフィリピン資本比率を体裁上クリアするためだけにフィリピン国籍の人に株を保有してもらうこともアンチ・ダミー法に該当します。外資が実質的には100%資本にも関わらずフィリピンに会社を設立しようとして無理やり進めた結果こちらもアンチ・ダミー法に抵触するケースも散見されます。
実際の法律の適応は、ケースバイケースでもある為、フィリピンへの進出やM&Aを具体的にお考えの際は必ず専門家に相談しましょう。
この記事の執筆者
MABC 事務局
株式会社AmandA
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