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移転価格税制とは?

国際税務
作成日 : 2020年9月19日

移転価格税制とは?

はじめに

海外進出する場合、進出先の国に現地法人を設立し、日本の親会社と海外の関連会社との間で取引を行うという進出形態はとても多いです。この場合、関連者間の取引ですので、価格の操作が簡単にできてしまうことから、税率の低い国により利益が残るように。。。など考えてしまいがちです。しかしながらこういった海外の関連会社との取引は、その価格について法律の規制があるので注意が必要です。

 

この規制は移転価格税制といい、海外の関連会社との取引について生じる価格を操作し、海外に所得を移転することを規制するための税制です。今回はその移転価格税制について、その概要をご紹介します。(あくまで概要ですので、詳細は専門家に相談することをお勧めします。)

 

 

制度概要

移転価格税制は海外の関連者との取引の価格を適正な価格で設定するように要請する税制です。ここでいう適正な価格とは独立企業間価格と呼ばれる価格です。 

 

独立企業間価格とは、まったく関連性のない第三者と取引した場合と同じ価格のことをいいます。この独立企業間価格の算定方法としては、OECDの移転価格ガイドラインにおいて国際的に認められた方法を用いることができ、具体的には以下のような算定方法があります。

 

     基本三法およびこれに準ずる方法

       独立価格比準法

       再販売価格基準法

       原価基準法

       上記方法(基本三法)に準ずる方法

     その他の方法

       取引単位営業利益法

       利益分割法

       上記方法に準ずる方法

 

上記の通り様々な算定方法が認められており、取引内容に応じてこの中から最も適切な方法を選定することがとても重要です。選定にあたっては、OECDが認めた各方法の長所及び短所、特に機能分析を通して判断された国外関連取引の性質を考慮に入れた算定方法の妥当性、選択された方法あるいはその他の方法を適用するために合理的に信頼できる情報の入手可能性、関連取引及び非関連取引の比較可能性の程度などを総合的に勘案する必要があります。

 

また、移転価格税制で重要なポイントの一つが移転価格文書化(ドキュメンテーション)です。移転価格文書化とは、移転価格調査で提出が求められる証拠書類を事前に収集し、移転価格の妥当性を証明するために独立企業間価格の算定方法や利益水準等を記載した書類を作成・保存することです。

 

移転価格の税務調査においては、事前準備をしていないと、不利な方向へと進んでしまうリスクが非常に高くなってしまいます。この文書化は一定規模以上の国外関連取引を行う法人では確定申告期限までに作成すること(同時文書化)が義務化されています。同時文書化の義務が免除される規模の法人でも税務調査時には書類の提出が求められますので、国外関連者との取引がある場合には文書化しておくことがとても重要です。

 

 

おわりに

移転価格税制はOECDでガイドラインが規定されているように、多くの国で導入されている制度です。シンガポールのようにOECDに加盟していない国でも、OECDのガイドラインに準拠した制度を導入しているケースもあります。

 

海外進出に際しては、日本の移転価格税制はもちろんですが、進出した国における移転価格税制についても考慮する必要があります。国によっては曖昧な基準で指摘を受けたり、とても厳しい運用がなされていたりする場合もありますので要注意です。国外関連者との取引がある場合には早めに移転価格対策を行うことをおすすめします。

この記事の執筆者

MABC 事務局

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